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見渡せば白日傘白日傘白日傘

小山正見

西日本では、既に梅雨明けしたという。関東地方の梅雨明けも7月上旬が予想されるらしい。
猛暑の夏がやってくる。
最近は毎年猛暑が積み重なってくる。たまったものではないが、ぼくの記憶に残る猛暑は34年前だ。
江東区の学校から港区の笄小学校に転勤して1年目だった。笄小学校の笄(こうがい)とはかんざしのことで、江戸時代は職人町だったのだろうと想像される。霞町の交差点の近くだ。秋元康の作詞でとんねるずが歌った「雨の西麻布」のど真ん中にあったのが笄小学校だ。足立、江東と下町を回ってきた自分としては、随分場違いな学校に来てしまったなと思った。
ぼくは1年生を担任していた。
この年が暑かった。何もしてなくても汗が吹き出してくる。クーラーはどこの教室にもついていなかった。
東京の最高気温は、確か39°Cまで上がった。
アスファルトの道路だけでなく壁が熱をもっていた。
さて、日傘の話だ。日傘の歴史は古い。遡ればエジプトまでいくようだ。
日本でも昔から日傘は使われてきた。
江戸時代には赤が好まれた。血色が良く見えるという理由らしい。
一時黒い日傘が流行ったこともある。UVカット効果が高いからだ。
それが最近は白に戻った。やはりお洒落優先なのかと思ったら、違った。
外は直射日光を弾く白で、裏側は地面からの反射を防ぐ黒になっているのだ。
確かに白日傘には違いないが、俳句の季語の「白日傘」とはだいぶ違うのではないかと思ってしまう。