俳句フォトエッセイ2026.10.31身に入むや伊勢型紙の川崎宿小山正見額縁の中は、広重の『東海道五十三次』の「川崎六郷渡舟」の図だ。三重県に伊勢型紙という伝統工芸があり、小刀で彫り抜いて作成するらしい。細い線を切り離さず彫るにはけっこう高度な技術を要するという。実は、この額は吉田忠司からの贈り物だ。江東区立第二辰巳小学校に転勤した時、吉田忠司は新卒で入ってきて同じ学年を組んだ仲間だ。優秀な教員だった。優しく面倒見がいい。すぐに子どもたちに慕われる存在になった。彼は、バイクで通勤していた。ぼくは、彼のバイクに何度か乗せてもらったことがある。同じく新卒で入ってきた本田佳代美と三人でよく語り合った。彼らを誘ってオリエンテーリングの大会に参加したことがある。グループの部だった。3位に入賞し、トロフィーをもらった。そのトロフィーはぼくが持ち帰ったが、卒業以外で表彰を受けたのは、ぼくの人生で初めてのことだった。彼は、ずっとぼくのことを覚えていてくれた。会うことはあまりなかったが、節目ごとに連絡をくれた。後年、彼が八王子の校長になった時、ぼくを講師に呼んでくれたこともある。その彼は退職後、「母の介護があるので」と生まれ故郷の三重に戻った。その彼から突然LINEが来た。9月15日だった。癌が見つかったというのだ。しかもすでにステージ4だったという。抗がん剤治療が辛いともあった。そして、この伊勢型紙が送られてきたのだ。お礼を書き、励ます手紙を送った。折り返しLINEで返事が来た。奥様からだった。「吉田忠司は9月23日に亡くなりました」というのだ。ちょうど68歳の誕生日だったという。彼からのLINEをもらってから8日しか経っていなかったことになる。吉田忠司を知っている人がいたら、ぜひ連絡をいただきたい。この句の季語秋身に入むみにしむ秋の冷えや寂しさが、深く体にしみ通るように感じられること。「身に入む」の俳句フォトをもっと見る(2句)俳句フォト歳時記
額縁の中は、広重の『東海道五十三次』の「川崎六郷渡舟」の図だ。
三重県に伊勢型紙という伝統工芸があり、小刀で彫り抜いて作成するらしい。細い線を切り離さず彫るにはけっこう高度な技術を要するという。
実は、この額は吉田忠司からの贈り物だ。
江東区立第二辰巳小学校に転勤した時、吉田忠司は新卒で入ってきて同じ学年を組んだ仲間だ。優秀な教員だった。優しく面倒見がいい。すぐに子どもたちに慕われる存在になった。
彼は、バイクで通勤していた。ぼくは、彼のバイクに何度か乗せてもらったことがある。同じく新卒で入ってきた本田佳代美と三人でよく語り合った。
彼らを誘ってオリエンテーリングの大会に参加したことがある。グループの部だった。3位に入賞し、トロフィーをもらった。そのトロフィーはぼくが持ち帰ったが、卒業以外で表彰を受けたのは、ぼくの人生で初めてのことだった。
彼は、ずっとぼくのことを覚えていてくれた。会うことはあまりなかったが、節目ごとに連絡をくれた。後年、彼が八王子の校長になった時、ぼくを講師に呼んでくれたこともある。
その彼は退職後、「母の介護があるので」と生まれ故郷の三重に戻った。
その彼から突然LINEが来た。9月15日だった。
癌が見つかったというのだ。しかもすでにステージ4だったという。抗がん剤治療が辛いともあった。
そして、この伊勢型紙が送られてきたのだ。
お礼を書き、励ます手紙を送った。
折り返しLINEで返事が来た。
奥様からだった。
「吉田忠司は9月23日に亡くなりました」というのだ。ちょうど68歳の誕生日だったという。
彼からのLINEをもらってから8日しか経っていなかったことになる。
吉田忠司を知っている人がいたら、ぜひ連絡をいただきたい。