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俳句フォトエッセイ

俳句フォトエッセイ

東京に雪が降る降る春の雪

総選挙の日、窓を開けたら雪だった。今年は全国的に驚くほど雪が多い。日本海側など、豪雪地帯の人々の苦労は並大抵ではないだろう。報道によれば今シーズンの死者は45人を超えたらしい。また、雪の多い地方では県道の廃止が計画されている。除雪費用などの負担に耐えきれなくなっているからだ。日本海側の大雪に対して、東京にはほとんど雪が降らない。日本の背骨といわれる奥羽山脈や越後山脈が雪を食い止めているからだ。シベリア高気圧もそこで力を使い果たすのだろう。子どもの頃は雪が降るのが楽しみだった。びしょ濡れになりながら雪合戦に興じた。東京に雪が降るのは、2月や3月が多い。

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春日向ぼくの愛した喫茶店

天気がいい。それに暖かい。散歩に出かけることにした。「どこに行こうか」思い出したのは、麻布食堂だ。ここで昼飯を食えば、松本先生の個展にも再度伺うことができる。麻布牛坂の急傾斜を登る。麻布食堂は、オムライスが有名だが、ぼくはハンバーグにした。当たりだった。うまいし、安い。麻布にもこんな店があるんだ。すぐ前が松本先生の個展だ。何度見ても胸に迫ってくる。不便な場所なのに、次から次からお客さんが来る。やはり話題の写真展なのだ。思いもかけず会場で一緒に仕事をしてきたT先生にお会いした。「一日誰とも喋らない日になるかも」と思っていたのに、おしゃべりに花が咲いてしまった。霞町の交差点に出る。

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白樫の 林を抜けて 春の風

東高根森林公園は、川崎市内にある唯一の県立公園である。JR南武線の武蔵溝ノ口駅からバスで10分ほど、森林公園のバス停で降りたらすぐだ。パークセンター脇の階段を217段、息を切らしながら上るとピクニック広場に出る。けっこうきつい。ちょっとした登山をした気分だ。晴れて天気が良ければ富士山がきれいに見えるはずだ。山あり谷ありの森林公園の中央に広大な芝生の広場が広がっている。親子連れが、のどかにバドミントンに興じていたが、足元には、古代の竪穴住居跡が60以上も埋まっているという。そう考えるとちょっとしたロマンである。芝生の向こうは白樫(シラカシ)の自然林だ。触ると白樫の幹は硬い。

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水温むペットボトルや花揺るる

素敵だと思って、思わず写真に撮ってしまった。実は、川崎市にあるK小学校のトイレの中である。目の前にこのペットボトルがあった。中に花やみどりがある。何とも気持ちがいい。光線の具合で動かないはずの花が揺れているかに見える。縁があって、昨年からこの学校に出向き、3年生に俳句を教えている。玄関や靴箱にはぼくを歓迎してくれる掲示あり何となく嬉しい。気遣いをしてくださっていることが伝わってくる。子どもたちも素直で前向きである。今日の学級では句会で「勉強をたくさんしよう春の夜」が投票で3位に入った。

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道端に両手広げた雪だるま

道端にまだ小さな雪だるまが溶け残っていた。手袋の両手を広げ、よく見ると目もちゃんとついている。ここは国分寺市だ。国立駅からバスで15分ほど。農地や雑木林も所々残っている。俳句の授業の要請があってここに来た。この年になって、こうした要請があるのは嬉しい。最初の雪の記憶は一枚の写真だ。父に抱かれたぼくが庭に作られた雪だるまの隣で笑っている。ぼくは病気で寝ていて、父に「雪だるまを作って」とねだったのかもしれない。そんな記憶がチラッとある。次は中学3年の時だ。都立高校の合格発表の日だった。受かっていた。学校に戻って、校庭で思い切り友達と雪を投げ合って遊んだ。

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春寒し奇妙奇天烈池袋

世の中は、ぼくの知らないうちにどんどん変わっている。その一端を先日池袋で感じた。夕刻、急にとんかつが食べたくなった。スマートフォンで「池袋、とんかつ」と検索したら、「丸七池袋店」が出てきた。居た場所のすぐそばだ。「経路案内」に沿って歩くと、Erola池袋というビルの6階だった。列に並んでしばらく待った。人気店なのだ。ぼくの前に並んでいた男の子は唇にピアスを3つもつけていた。女の子の髪は完全脱色だった。こうした光景にはもう慣れた。かつそのものはおいしかったが、煮ていないかつ丼のようだった。ぼくは、普通のかつ定食の方が好きだ。何回か食べれば好きになるのだろうか。そうとも思えない。

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快眠度七二%(ぱー)雪の朝

昨日の夜は寝床につくのが0時過ぎになってしまった。予報では雪の可能性があるという。8時過ぎまで寝ているつもりだったが、6時頃に目を覚まし、そのまま眠れそうもないので起きることにした。普段より睡眠時間は少ない。それでも睡眠アプリ「Sleep Cycle」によれば、睡眠の質は、地域の平均の68%を上回っている。一瞬、ホントかなと疑ってしまう。このアプリは、夜寝る時にセットし、枕元に置くと、体の動きなどから睡眠の質を測りグラフにしてくれるというものだ。最近は夢を見ている時間まで表示される。ぼくは、この「Sleep Cycle」というアプリを2015年から使っている。もう10年だ。

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凛と立つ白一色の水仙花

水仙は1月から2月にかけて咲く花の代表格だ。季語としては冬に分類されているが、2月に入ってもしっかり花をつけている。水仙は原種だけで50種類、園芸種になると1万種以上あるというから驚きだ。水仙の原産地は地中海周辺である。日本に入ってきたのは平安時代より前というから、もうすっかり日本の風土に定着している。先日、散歩の途中に真っ白な水仙を見つけた。ペーパーホワイトという品種である。「紙のように白い」ことからこの名前がついた。水仙の学名は「ナルキッソス」である。これは水に映った自分の姿の美しさに見惚れて、命を落としたギリシャ神話に出てくる美少年の名前だ。ここからナルシズムという心理学用語が生まれた。

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春立ちて幼なの声の変はらざる

メトロ日比谷線、広尾の駅を降りて徒歩7分ほど。ここは笄(こうがい)公園である。そして後ろに見える建物は港区立笄小学校である。ぼくは江東区の隅っこにある学校からこの都心の真ん中の学校に異動したことになる。まだバブルが弾けていなかった。当時の西麻布は好景気な最中にあった。広尾から西麻布の交差点に向かう外苑西通りは通称「地中海通り」と呼ばれていた。イタリアンレストランが軒を並べていたからである。土曜日の昼食はそれらの店を巡ったこともあった。クイーンアリスというお洒落なフランス料理屋にも同僚に連れられて行ったことがある。それらの店はどこに行ったのか。有名なキャンティの支店も姿を消していた。

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選挙終へその翌朝の冴返る

2月8日が総選挙の投票日である。夜中のうちに結果が出て、次の朝には当落がはっきりする。選挙には当選者が出るが、それ以外は落選する。比例代表で救われても落選者が出ることには変わりはない。落選したら「ただの人」だ。ぼくは何人もの議員さんと付き合ってきた。ずっと当選し続けている人はよい。議会に就職したようなものだ。ある優秀な議員さんがいた。都議会議員だった。しかし落選し、次の選挙でも落ちた。いつの間にか、姿を見かけなくなった。優秀な人だから、他の方面を目指したのであろう。Kさんという国会議員がいた。とても運の良い人だった。都議会議員の時、交通事故を起こし議員を辞職した。