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俳句フォトエッセイ

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春一番てんとう虫の動き出す

先月、東高根森林公園を紹介したら、読者から「ここもいいわよ」と教えていただいたのが南野川ふれあいの森だ。スマートフォンで行き方を調べ、横浜を走る地下鉄グリーンラインの東山田駅から歩くルートで向かった。駅を降り、ひたすら住宅地の間を歩く。途中にお店もコンビニも見当たらない。中学校のグラウンドでは、野球の試合やサッカーの練習が行われている。よく整備された公園を横切って坂道を下ると有馬川の細い流れに出た。この川を渡ると、ようやく川崎市宮前区に入る。ふれあいの森は急坂を上り切ったその上にあった。疲れて思わずベンチにへたり込む。春一番の強い風が幹を揺らしている。風の音だけが森を通り抜ける。

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冴返る電子レンジの赤ランプ

美味しそうなお味噌汁をいただいた。お湯をかけるだけで出来上がるのだが、実に美味。夕飯は、この味噌汁に合うものにしようと考えた。「そうだ、刺身がいい」少量で美味しそうなものがあればいい。これでご飯をチンすれば、立派な夕食だ。マルエツの鮮魚売場で美味しそうな中トロを見つけた。4切で680円。高いが、このくらいあれば、僕には十分だ。納豆と金平牛蒡も買った。これに味噌汁とチンご飯。立派な「刺身定食」になる。帰宅して、テーブルの上に並べる。あとは、ご飯だけ。大量に用意してあるパックご飯をレンジに入れ、スイッチを押す。ところが、すぐ音が鳴ってH74と表示が出て止まった。

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春の夜の天麩羅定食せいろ付き

元住吉にはラーメン屋が少なくても10軒以上ある。栄枯盛衰も激しい。知らぬ間に新しい店ができ、知らないうちに閉店している。ラーメン激戦区になったのだ。それと比べて日本蕎麦屋は2軒しかない。両方とも昔からある店だ。ブレーメン通りの富士見庵と駅の反対側のオズ通りにあるやぶ久である。ぼくが好きなのはやぶ久だ。暖簾が格好いいし、竹を配した店内の雰囲気がいいからだ。妻と共に暮らしていた時は、よく2人で来た。妻はとろろ蕎麦を頼むことが多かった。ぼくはいつも野菜天丼だった。今夜は久しぶりのやぶ久。お品書きを眺め、野菜の天麩羅定食に決めた。しばらくしてお膳が運ばれてきた。

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春光にハレルヤ銀座四丁目

約束の時刻までにはまだ余裕があった。写真は日産ビルの3階から撮った一枚である。昔のままの和光が写っている。この銀座四丁目の角のすぐそば、鳩居堂の隣、大黒屋の7階のギャラリーでデサント展が行われている。高校時代からの親友Mが出品している。高校3年の冬休み。Mとぼくは冬の八ヶ岳に出かけた。Mは絵を描くために、ぼくは受験の参考書を持って。道端にテントをはろうとしたら大学生のグループに「そのテントで寝たら死ぬぞ」と言われた。ぼくたちの持ってきたテントは夏山用だったのだ。そんなことも知らずに冬の山に出かけたのだ。結局その晩は赤岳鉱泉に泊まって一命を取り留めた。ぼくたちは数日赤岳に逗留した。寒かった。

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とんかつの脂の匂ひ蜆汁

とんかつに味噌汁は付き物だ。具はさまざまだが、ぼくは蜆汁がいい。箸に当たる蜆の感触、コクのあるだしが何とも言えない。とんかつの脂っこさが途端に消える。「蜆汁」は春の季語だ。蜆と言えば、宍道湖、松江である。 NHKの朝ドラ「ばけばけ」で松江はずいぶん賑わっているらしい。俳人辻桃子は「宍道湖の今朝の濁りや蜆汁」と詠んだ。蜆には旬が年に2回あるとされているが、産卵を控える春が1番美味だという。身が肥え始め、味が濃く、だしがよく出るからだ。かつて、神保町に「いもや」というとんかつ屋があった。いつ行っても行列だった。メニューはロースかつとヒレかつの2つだけ。それに大鍋から無造作に掬った蜆汁が付く。

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区役所の山桜の肌艶めきぬ

区役所の前庭に山桜が三本ある。植えたのはおよそ十年前だ。前庭に植えることで、俳句教育を区に根付かせたいと思った。幹は確実に太くなっている。趣旨を謳い寄付を募ったところ、約30万円が集まった。多くの人が応援してくれて植樹となった。植樹式では区長から挨拶をいただき、富岡八幡宮の宮司丸山総一氏にお祓いをしていただいた。俳人の長谷川櫂氏による講演も行われた。植樹された山桜の前には俳句教育の推進を願って、芭蕉の「さまざまなこと思ひ出す桜かな」のプレートが置かれている。ぼくは3年前に江東区の「俳句教育推進員」の職を辞したが、現在もS先生を中心に江東区の俳句教育はますます発展している。

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久月は撮影OK雛飾り

都政新報の「暮らしを楽しむ俳句フォト」の掲載は週に一回。毎週火曜日だ。東京新聞の方は月に一度だから余裕があるが、毎週というのは結構忙しい。カレンダーを見たら3月第1週の火曜日は3日、ひな祭りの日だと気づいた。「だったら雛人形だ」雛人形と言えば久月である。迷わず、浅草橋に向かった。浅草通りに面した本店には「人形問屋久月総本店」とある。2月も半ばを過ぎだ。客はまばらだが、赤ちゃんを抱いているお母さんもいる。店内は雛人形一色だ。しかし、七段飾りなどの本格的なものは、申し訳程度に置いてあるだけだ。売れ筋は親王飾りなど、男雛と女雛が並んでいるシンプルな雛である。段の多いものもほとんど全てがミニサイズ。

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春の虹俳句授業のアレやコレ

年度末が近い。今年の俳句授業も終盤にかかっている。今日は千代田区のK小学校、先日は国分寺市のR小学校に赴いた。(写真は本文と関係ありません)俳句教育推進員として勤務し始めた時からもう16年だ。一番多い時には、年間に500時間以上授業したこともある。そのほとんどの授業で子供たちは楽しんでくれた。途中経過が上手くいかなくても、最後の句会が子供たちに緊張感と楽しみを与えた。俳句の短さと句会の楽しさが子供たちを惹きつける大きな要因だったと思う。話をある程度聞いてくれる学級なら俳句の授業は例外なく成功する。しかし、上手くいった授業は忘れてしまう。記憶に残るのは、苦しかった授業での悪戦苦闘である。

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カプセルの中身は何ぞ地虫出づ

何やら工事が始まっている。元住吉駅のすぐそば、青山フラワーマーケットの目の前だ。かつてセキモト写真店のあった場所である。ずっとシャッターが閉まったままだった。「何ができるんだろう」興味津々で毎日眺めていた。看板が付いて、いつの間にか開店している。「カプセル薬局」とある。「なんだ、また薬屋か」とがっかりしていたが、様子がおかしい。「この風景、どこかで見たことがある」新宿サブナードの地下にもあった。ゲームセンターの中でも見た、あのカプセルトイだ。店の中に店員は一人もいない。カプセルトイの白い箱が並んでいるだけだ。2階にも上がってみた。ぎっしりと白い箱が並んでいる。

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早春の常盤湯に行く月曜日

常盤湯は江東区森下、常盤二丁目にある銭湯だ。先日、勇んで木曜日に行ったら定休日だった。だから今日は再チャレンジである。この日は森下駅近くの音楽喫茶サンメイトで俳句教室をした。オーナーの桜さんには、現役時代からお世話になっている。静かで落ち着ける素敵な喫茶店だ。時々音楽イベントがある。桜さん自身が歌手なのである。すぐそばの自転車屋シラカワサービスに寄る。ぼくが八名川小学校に勤めていた時のPTAの会長が彼だった。今は地域全体をまとめる立場にいる。息子さんと娘さんの成長した写真を見せていただく。古本屋さんにも寄った。「古書しいのき堂」である。品揃えが良い。