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歌舞伎町抜けて銭湯望の夜

小山正見

【銭湯紀行】21

新大久保 万年湯

立川市の学校で俳句の授業に出かけた。ちょうど授業参観で多くの保護者が参観していた。授業参観だと、子どもたちの集中度があがり、こちらも授業がしやすくなる。
その帰りにちょっとした買い物があり、新宿に出た。
ふと、銭湯に行きたくなった。
新宿にスーパー銭湯があることは知っている。入浴料は3000円。今日は普通の銭湯がいい。
スマホで探してみた。すると、あった。
新大久保通りの万年湯だ。
久しぶりの新宿。歌舞伎町を抜けて、新大久保に向かう。
歌舞伎町への入口は、何と「ゴジラロード」だ。突き当たりの新宿東宝ビルの屋上に巨大なゴジラヘッドが設置されているからだ。
新大久保が近くなると街の様相が変わる。韓国料理の店が増え、若い女性向けのアクセサリー店も軒を連ねる。地図で見るとイケメン通りというらしい。韓流ブームの続きなのか、周りは若い男女ばかりだ。
万年湯は、確かに新大久保通りに出たところにあった。雰囲気は、ちょっと和風。洒落た玄関だ。
フェイスタオルが無料。シャンプーとボディソープは、浴室に備え付けられている。
高温のシルク風呂と中温の風呂があり、水風呂も用意されている。ただし、サウナはない。
結構な賑わいだ。僕の隣は髭の外国人。デカプリオのような顔つき。惚れ惚れする格好よさだ。つい話しかけたくなったが、英語もできないから諦めた。洗い場では、倶利伽羅紋紋のお兄さんが、すね毛をカミソリで剃っている。杉本眞人の「センチメンタル・ゲイ・ブルース」の一節が思わず浮かんできた。
一週間に一度は来ているという常連のおじいちゃんに話を聞いた。
この万年湯は、数年前に再開されたのだという。この辺は古いアパートも多いし、民泊が多いから、外国人客でもっているようなものだと話してくれた。
外に出ると、昭和の名残のような古いアパートの屋根の上に中秋の名月が姿を見せていた。

この句の季語秋

望の夜もちのよ

「中秋の名月」の言い換えの季語です(傍題)

中秋の名月:陰暦八月十五日の月。一年でもっとも美しいとされる。