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閉店まで粘る輩や秋灯し

小山正見

この日もカフェの閉店まで粘った。4時間は居ただろうか。
図書館でものを書いたり、本を読んだりすればいいのに、どうもあの堅苦しい静寂が苦手だ。
感泣亭には、父の残した立派な書斎があるし、スペースもある。冷暖房は自分の具合にあわせられるし、好きな音楽を聴ける。よほど便利だとは思うのだが、何だか落ち着かない。
思い出してみると、ぼくの「書斎」の半分は喫茶店だった。
最初は、浅草のフラミンゴだ。この店は国際通りにあり、今でも2階のバーは残っているはずだ。お神輿で有名な宮本卯之助商店の一つおいた隣にあった。鮮やかな緑色の壁に大きな絵がかかっていた。前金制で濃いフランス風のコーヒーが出てきた。それに金貨の形のチョコレートが一枚付く。ぼくはいつも大きなテーブルの角に座り、本を読んでいた。素敵な喫茶店なのに、コーヒーの値段が高かったせいか、いつも空いていた。
業平橋のジョナサンもぼくの「書斎」だった。24時間営業でテーブルが広く、明るい。作業するにはうってつけだった。コーヒーが何杯でもお代わりできたし、夜中は客が少なかった。
当時住んでいた団地からわずか50メートル。
「ちょっと隣に行ってくる」
3時間も4時間もここで過ごした。
元住吉に越してからは、店を転々とした。
マックもいいし、上島珈琲もよく使った。マックは公共空間のような気楽さがあるが、椅子が硬く周りは高校生ばかり。
上島珈琲は価格が高い上に充電用のソケットがない。ドトールはごみごみし過ぎている。
今は、写真のカフェ。落ち着くし、何時間でも居られる。リモート会議も電話でのおしゃべりもできる。冷房が効きすぎていないところも気に入っている。
ぼくは、どうやら静かすぎず、人の気配を感じるようなところが一番落ち着くのかもしれない。

季語秋灯し(あきともし)[秋]

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